特集 透析室の感染症へどう対応するか
各論 12.グラム陽性球菌(MRSA,VRE,PRSP)への対策
原田 孝司
1
,
佐々木 修
1
,
一ノ瀬 浩
1
,
澤瀬 健次
1
,
橋口 純一郎
1
,
舩越 哲
1
1長崎腎病院
キーワード:
メチシリン耐性黄色ブドウ球菌
,
バンコマイシン耐性黄色ブドウ球菌
,
ペニシリン耐性肺炎球菌
Keyword:
メチシリン耐性黄色ブドウ球菌
,
バンコマイシン耐性黄色ブドウ球菌
,
ペニシリン耐性肺炎球菌
pp.637-644
発行日 2018年6月10日
Published Date 2018/6/10
DOI https://doi.org/10.19020/CD.0000000502
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
MRSA の伝播予防策は接触予防策であり,とくに標準予防策としての手指衛生が重要である.携帯用乾燥式手指消毒薬の個人所有化は伝播予防に有用である.院外からの持ち込みへの対策としてアクティブサーベイランスの有用性が報告されている.各種抗MRSA 薬は,それぞれ作用機序・作用様式・適応症が異なっている.グリコペプチド系抗菌薬の汎用によりバンコマイシン耐性黄色ブドウ球菌(VRE)の院内感染症や保菌者が増加している.VRE の多くは多剤耐性であるが,オキサゾリジノン系薬は効果が期待できる.肺炎球菌は,約50 %がペニシリン耐性肺炎球菌(PRSP)であり,多剤耐性が多くなっている.予防として,透析患者に対する肺炎球菌ワクチン接種の効果が認められている.VRE,PRSP は感染者と診断した場合は,保健所に届け出が義務づけられている.
Copyright © 2018, Nihon Medical Center, Inc. All rights reserved.