特集 透析室の感染症へどう対応するか
各論 11.グラム陰性桿菌(MDRP,セラチア属菌,レジオネラ属菌など)への対策
稲葉 正人
1
,
荒川 宜親
2
1藤田保健衛生大学感染症科
2名古屋大学大学院医学系研究科分子病原細菌学/耐性菌制御学
キーワード:
接触感染予防策
,
多剤耐性緑膿菌
,
多剤耐性アシネトバクター
,
セラチア
,
レジオネラ
Keyword:
接触感染予防策
,
多剤耐性緑膿菌
,
多剤耐性アシネトバクター
,
セラチア
,
レジオネラ
pp.631-636
発行日 2018年6月10日
Published Date 2018/6/10
DOI https://doi.org/10.19020/CD.0000000501
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透析室では多数の患者が同時に治療を受けているために,複数の感染経路を介してさまざまな病原体に曝露する危険性がある.透析室における薬剤耐性菌(以下,耐性菌)対策の基本は「標準予防策」と「接触感染予防策」であるが,さらに透析室特有の対策や各耐性菌の特徴に即した感染対策が必要となる.たとえば多剤耐性緑膿菌の感染対策としては,透析室や院内環境の日常的な衛生維持とともに患者を個室管理のうえ,使用したトイレなど湿潤環境の除菌が重要であるのに対し,多剤耐性アシネトバクターの場合では乾燥環境を含むより広範囲な除菌が必要となる.透析患者は基礎疾患のために感染防御能が低下しており,またシャントへの穿刺などで皮膚のバリア機能が破綻しやすいため,健康人より耐性菌による感染症に罹患しやすい状態である.透析室で新たに病原体に感染したり耐性菌を保菌することのないよう厳重な感染対策が必要である.
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