ケース・スタディ
膵癌治療中に貧血と重度急性腎障害を合併し,血液透析を要した1 例
對馬 英雄
1
,
板野 明子
1
,
鮫島 謙一
1
,
赤井 靖宏
2
1奈良県立医科大学第1 内科
2奈良県立医科大学第1 内科 地域医療学講座
キーワード:
二次性血栓性微少血管障害
,
抗がん剤
,
溶血性貧血
Keyword:
二次性血栓性微少血管障害
,
抗がん剤
,
溶血性貧血
pp.317-323
発行日 2018年3月10日
Published Date 2018/3/10
DOI https://doi.org/10.19020/CD.0000000379
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現病歴:X-1 年10 月に左側腹部痛を自覚して近医を受診した.腹部造影CT で膵体部に造影効果の乏しい径3 cm の腫瘤影を指摘されて,MRCP(magnetic resonancecholangiopancreatography)などの検査から膵癌が疑われたため12 月に当院消化器外科へ紹介された.超音波内視鏡下穿刺吸引術で異型腺細胞を指摘されたため膵体部癌(管状腺癌T3N1M0 stage ⅡB)と診断された.当院紹介時には腎機能障害はなく(sCr 0.91mg/dL,eGFR 61.8 mL/min/1.73 m2),軽度の貧血が認められるのみであった(Hb 12.2g/dL,MCV 92 fL).術前に化学放射線療法(ゲムシタビン2 クール1,460 mg/回1 クール3 回計6 回投与,放射線照射48 Gy)が施行された後,X 年3 月に膵体部切除術が施行され,4 月から術後化学療法(ゲムシタビン1,460 mg/回)が再開された.5 月から外来受診時に初めて血圧の上昇(158/84 mmHg)を指摘されたが経過観察されていた.ゲムシタビン投与3 クールめが終了した7 月より貧血の進行が認められ,同時期から腎機能障害も指摘された.8 月から顔面や下肢に浮腫を自覚するようになり,9 月の定期受診時に腎機能障害(sCr 4.31 mg/dL)と正球性正色素性貧血(Hb 5.5 g/dL,MCV 96 fL)を指摘されたため当科に紹介されて入院した.
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