特集 透析患者向け治療食の最先端
[総論] 3.腸内細菌の重要性 b.慢性腎臓病患者における腸内細菌と栄養
佐藤 稔
1
1川崎医科大学腎臓・高血圧内科学
キーワード:
腸内腐敗産物
,
腸管粘膜バリア機能障害
,
インドキシル硫酸
,
p―クレシル硫酸,便秘
Keyword:
腸内腐敗産物
,
腸管粘膜バリア機能障害
,
インドキシル硫酸
,
p―クレシル硫酸,便秘
pp.1559-1566
発行日 2017年11月10日
Published Date 2017/11/10
DOI https://doi.org/10.19020/CD.0000000233
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尿毒素物質は,腎機能の低下とともに体内に蓄積し臓器障害を引き起こす.慢性腎臓病患者で尿毒素物質濃度を低下させるには,その産生を減少させるのが効率的である.インドキシル硫酸,p―クレシル硫酸などは腸内細菌により産生される.健康状態では,腸内細菌叢は個体の恒常性維持に重要な役割を果たす.慢性腎臓病は腸内細菌叢組成を変化させ,腸管粘膜バリア機能を障害する.これらは尿毒素物質の血中濃度上昇に関与している.また,腸内環境の変化は慢性腎臓病をさらに悪化させる要因となる.腎不全で悪化した腸内環境の改善が,今後の慢性腎臓病の新規治療ターゲットとなる.
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