検査法の基礎理論 なぜこうなるの? 選択培地の機構・1
腸内細菌
横沢 光博
1
1東京共済病院中央臨床検査科
pp.226-230
発行日 1982年3月1日
Published Date 1982/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543202456
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多くの菌種が混在している臨床材料から,特定の菌種を純培養として分離するということはたいへんなことである.特に糞便などでは,やたらに大腸菌,その他の常在菌が発育して目的とする菌種を探すのにたいへんな手間がかかる.そこで特定の菌種のみを増殖させて,他の菌種は例え存在していても集落をつくれないように巧みに工夫した特別な培地がある.その組成は目的とする菌種の特殊な生化学的性質を利用して集落を特徴づけるか,他の菌の増殖を阻害するような物質を加えて,目的とする菌種の増殖をはかるようにした培地で,我々はこのような培地を選択分離培地と称して日常臨床細菌検査に頻繁に利用している.このような選択分離培地をいろいろ組み合わせることによって,ルーチン検査を能率よくすすめることができる.しかし,選択分離培地の種類は多く,その組成はいろいろな物質が処方されていて複雑である.
選択分離培地を使用する場合に,まず選択分離培地に含まれている培地成分の必要性と,その相互作用を理解し,機構を知ることができれば,使用上どのような点に注意しなければならないかということが自然と明らかになり,市販培地を使う場合の参考となるので重要なことである,機構の異なる3種の培地,SS寒天培地,XLD寒天培地,亜硫酸ビスマス寒天培地について解説する.
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