特集 腸内細菌研究の最前線 ―社会実装へ向けて
2.腸内細菌と疾患(3)腸内細菌と肝疾患
冨田 謙吾
1
,
穂苅 量太
1
1防衛医科大学校内科学講座
キーワード:
腸内細菌叢の乱れ
,
腸管透過性亢進
,
腸肝相関
Keyword:
腸内細菌叢の乱れ
,
腸管透過性亢進
,
腸肝相関
pp.1338-1343
発行日 2025年9月20日
Published Date 2025/9/20
DOI https://doi.org/10.19020/CG.0000003647
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肝臓は,門脈を介して腸管から直接の血流の供給を受ける臓器であり,肝臓病・肝臓癌の病態は,腸内細菌叢,細菌菌体成分,腸内細菌産生代謝物などの強い影響を受けることが明らかとなってきた.腸内細菌叢の乱れ(dysbiosis)は,腸管内のPAMPs(病原体関連分子パターン),腸内細菌代謝産物などの種々の因子に大きな影響を与え,さらに腸管透過性亢進(leaky gut)をも促進し,門脈血流を介して肝臓病態を変化させる.腸内細菌叢をターゲットとした,プレバイオティクス,プロバイオティクス,糞便微生物移植,ファージ療法,微生物コンソーシアなどの新たな治療法の確立が今後期待されるものである.

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