特集 維持透析患者の喪失感―理解・克服への支援
1.透析患者が体験する喪失のさまざまな形
筒井 順子
1
,
西村 勝治
2
1東京女子医科大学神経精神科・臨床心理士
2東京女子医科大学神経精神科
キーワード:
喪失感
,
透析導入初期
,
家族のサポート
Keyword:
喪失感
,
透析導入初期
,
家族のサポート
pp.1307-1315
発行日 2017年9月10日
Published Date 2017/9/10
DOI https://doi.org/10.19020/CD.0000000180
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透析導入期から長期継続期までに患者が体験する喪失感は,否認や孤立感などに推移していく.心理尺度を用いた研究では,とくに透析導入初期において喪失感が大きいことが明らかになっている.透析患者の家族もまた,患者とは異なる喪失感を体験している.患者自身は透析施設のスタッフとの関係を新たに構築し,そこからサポートを得ることができるが,家族はスタッフとの交流がほぼないためにサポートを得ることができず,ストレスへの対処に悪影響を及ぼしていることを指摘する研究もある.透析導入直後からすぐに現実を受け入れることなど難しい,という当たり前の事実に医療者がいつも立ち戻ることが透析導入初期における喪失感へのサポートの第一歩である.
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