Japanese
English
第5土曜特集 腫瘍免疫――免疫ネットワークから考える基礎と臨床
免疫チェックポイント阻害薬の成功から続く展望
【新規がん免疫治療薬の開発】
基礎研究と臨床応用への谷間をつなぐ橋渡し研究の重要性
Importance of bridging the valley between basic research and clinical application
和田 聡
1,2
,
玉田 耕治
3
Satoshi WADA
1,2
,
Koji TAMADA
3
1昭和大学臨床薬理研究所臨床腫瘍診断学部門
2同医学部内科学講座腫瘍内科学部門
3山口大学大学院医学系研究科免疫学
キーワード:
橋渡し研究
,
基礎研究
,
臨床研究
,
免疫チェックポイント阻害薬
Keyword:
橋渡し研究
,
基礎研究
,
臨床研究
,
免疫チェックポイント阻害薬
pp.543-547
発行日 2022年4月30日
Published Date 2022/4/30
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28105543
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
社会の急速な高齢化に伴い,現在2人に1人ががんを発症し,3人に1人ががんで死亡する時代であり,新しいがん治療法の開発はきわめて重要な課題である.がんとは,がん細胞に加えて免疫細胞,線維芽細胞,血管構成細胞,間葉系幹細胞などさまざまな間質細胞が関与する多様な病態であり,それががん治療の反応性にも関係する.がん病態の多様性は,遺伝子異常に基づくがん細胞の性質,患者の体質,環境因子にも規定され,新規標的分子・標的細胞を同定するために広い視点で多様な新手法を用いることが必要である.そのような新規標的分子の探索により,がんに対する新しい治療薬が多方面から開発されており,がんの治療成績は年々向上しつつあるが,新規薬剤の開発と市場への投入は,海外企業または日本企業による海外での成果によるものが多い.日本では優れた基礎研究の成果として新規標的分子の候補を見出してきたが,海外と比較するとアカデミア発のシーズが新規薬剤開発に結びつくことが少なく,日本の新規医薬品の開発力の向上における重要な課題といえる.本稿では,基礎研究から臨床応用への橋渡し研究において成功を収め,近年急速に臨床応用が拡大しているがん免疫療法(免疫チェックポイント阻害薬)の事例について考察し,橋渡し研究の重要性について論述する.
Copyright © 2022 Ishiyaku Pub,Inc. All Rights Reserved.