Japanese
English
公益社団法人日本麻酔科学会第71回学術集会講演特集号 学術委員会:学会賞記念公演
周術期の止血や血栓防止法の模索
A point-of-care device is an effective tool for preventing perioperative bleeding and thrombosis
市川 順子
1
Junko ICHIKAWA
1
1東京女子医科大学附属足立医療センター麻酔科
キーワード:
大量出血
,
血栓形成
,
ポイントオブケア
,
血液粘弾性検査
,
ヘパリン用量・反応曲線
,
凝固波形分析
Keyword:
大量出血
,
血栓形成
,
ポイントオブケア
,
血液粘弾性検査
,
ヘパリン用量・反応曲線
,
凝固波形分析
pp.S191-S198
発行日 2024年11月20日
Published Date 2024/11/20
DOI https://doi.org/10.18916/masui.2024130026
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
はじめに
19世紀の病理学者であったVirchowは病的血栓形成の機序に,① 血管壁の性状の変化,② 血流の変化,③ 血液成分の変化が関与すると提唱した。特に周術期の血液成分は,生体への侵襲によってその動態が急激に変化し,出血や血栓形成に大きく関与することが分かってきた。人工心肺使用の心臓手術における出血の原因として,① 希釈性,消耗性の凝固因子低下,② 線溶亢進,③ ヘパリン,プロタミンの多寡に関する問題,④ 人工心肺使用に由来した血小板機能障害などがある。このうち ① と ③ に焦点を当てて,ポイントオブケア(point of care:POC)を用いて血液成分の変化を評価し,研究を進めてきた。従来から血液製剤投与の指標とされてきたプロトロンビン時間(prothrombin time:PT),活性化部分トロンボプラスチン時間(activated partial thromboplastin time:APTT)の検査は,トロンビン生成が10nMに過ぎない時点で測定を終了するため1)2),フィブリン重合能や線溶系の評価として不適である。さらに,PT,APTTのように中央検査室における検査では,検体搬送,血漿分離に時間を要し,大量出血の場合,採血時点と比較して結果表示時点での止血機能はさらに悪化している可能性がある1)2)。そこで,当院では,操作が簡便,全血で測定できturnaround timeが短いPOCを臨床上,活用してきた。本論文では,止血や血栓形成においてPOCを活用してきたわれわれの一連の研究成果を述べる。
Copyright © 2024 KOKUSEIDO CO., LTD. All Rights Reserved.