増刊号 それぞれの創傷治癒
Ⅱ.頭部・顔面・頸部 14.頸部の創傷治癒
石田 勝大
1
1東京慈恵会医科大学形成外科学講座
pp.S146-S149
発行日 2024年6月30日
Published Date 2024/6/30
DOI https://doi.org/10.18916/keisei.2024130034
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はじめに
顔面・頸部は血流に富んでいることもあり,他部位と比べて創治癒の条件は有利である。一方で頸部の創傷治療を管理するためには,頸部の間隙構造を理解する必要がある。間隙とは層構造に囲まれる隙間で,筋膜がその壁を構成している。筋膜といっても筋肉の被膜とは限らず,筋膜とは骨や臓器を覆う膜も含んだ総称である。頸部はこの間隙に沿って感染が進展する特徴があるので,表面皮膚の状態だけでは重症度が判定できない。完全な創治癒を獲得するためには深部の状態を評価し,深部感染を速やかに鎮静化する必要がある。それを怠れば頭蓋底・縦隔へと感染が波及し,敗血症や大血管の破綻など重篤な合併症を併発する場合もあり,的確な判断と迅速な対応も要求される。また頸部は露出部位であり,長期にわたって創部の管理を行う必要がある。
本稿では間隙構造の解剖と,感染疾患の対応方法,創閉鎖後の注意点に関して記載する。
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