増刊号 それぞれの創傷治癒
Ⅱ.頭部・顔面・頸部 11.顔面神経麻痺の創傷治癒
曽束 洋平
1
,
松田 健
1
1新潟大学大学院医歯学総合研究科(医)・形成再建外科学
pp.S131-S135
発行日 2024年6月30日
Published Date 2024/6/30
DOI https://doi.org/10.18916/keisei.2024130031
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
はじめに
顔面神経麻痺の原因,症状,発症からの経過した期間は,多岐にわたる。中枢神経系内の障害で起こる中枢性の顔面神経麻痺と,橋から出た後の部位の障害で生じる末梢性の顔面神経麻痺があるが,多くは側頭骨内を主病変とする末梢性である場合が多い 1)。近年の脳神経外科・耳鼻咽喉科の手術手技の進歩と抗ヘルペス薬を中心とした薬物治療の進歩により,実際は「麻痺後に神経がある程度回復したが健側と同等にはならなかった後遺症症例」が大勢を占めるようになった 2)。そのような症例に対しては顔面神経に対する動的再建・静的再建に関する成書の治療方法の適応はほとんどない。また外傷性・医原性による顔面神経損傷の基本的方針は極めてシンプルであり,「一次縫合可能な場合は神経縫合,一次縫合できない場合は神経移植を行う」のみである 3)。ここでは大勢を占めるようになった後遺症症例に関して解説する。
Copyright© 2024 KOKUSEIDO CO., LTD. All Rights Reserved.