増刊号 それぞれの創傷治癒
Ⅱ.頭部・顔面・頸部 7.小耳症の創傷治癒
佐々木 薫
1
,
関堂 充
1
1筑波大学医学医療系形成外科
pp.S111-S116
発行日 2024年6月30日
Published Date 2024/6/30
DOI https://doi.org/10.18916/keisei.2024130027
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はじめに
肋軟骨移植を用いた耳介形成術はTanzar法 1)をもとに発展し,近年では彫りの深い立体的な耳介を再建することが可能となった。
一方で,硬く凹凸の大きな血流のないフレームワークを,血流が不安定になりやすい薄層化された皮膚によって被覆し,さらにその皮膚は陰圧により陥凹部に引き込まれて緊張がかかるという,創傷治癒の観点から見ると厳しい条件が重なる。いったん創治癒遅延が生じると,フレームワークの露出・感染へと進行し,フレームワークを除去せざるを得ない状況へ陥ることもある。したがって,耳介形成術においては,創治癒遅延の予防と創治癒遅延の徴候を早期に発見し対応することが求められる。
小耳症の創傷治癒に関する基礎研究はほとんどないため,本稿では臨床的な側面から小耳症治療の創傷治癒のメカニズム,創治癒遅延の予防と対応について述べる。
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