投稿論文 短報
長時間の婦人科手術後に発症した下腿コンパートメント症候群の1症例
大島 雪乃
1
,
新倉 梨紗
,
中村 英恵
,
北島 治
,
前田 剛
,
鈴木 孝浩
1日本大学医学部附属板橋病院 麻酔科
キーワード:
コンパートメント症候群
,
Creatine Kinase
,
子宮頸部腫瘍
,
術後合併症
,
静脈血栓症
,
手術時体位
,
下腿筋
,
間欠的加圧装置
,
弾性ストッキング
,
Edoxaban
,
子宮頸部切除術
,
保存的療法
,
砕石位
Keyword:
Trachelectomy
,
Conservative Treatment
,
Postoperative Complications
,
Uterine Cervical Neoplasms
,
Compartment Syndromes
,
Creatine Kinase
,
Intermittent Pneumatic Compression Devices
,
Stockings, Compression
,
Venous Thrombosis
,
Edoxaban
pp.1101-1103
発行日 2020年10月10日
Published Date 2020/10/10
DOI https://doi.org/10.18916/J01397.2021033173
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31歳。子宮頸癌に対し子宮広汎頸部摘出術を砕石位で行い、DVT予防に弾性ストッキングと間歇的空気圧迫装置を使用した。手術時間は9時間13分に及んだが麻酔覚醒は良好で、患者はすぐに右下腿痛を訴えた。間歇的空気圧迫装置と弾性ストッキングを外したところ、右下腿はやや蒼白で、腓腹部に腫脹と硬結を認めた。右下腿の知覚は軽度低下し、足関節運動が緩慢であった。下腿コンパートメント症候群が疑われたが、後脛骨動脈と足背動脈の拍動は触知できたため、保存的に経過観察することとした。術後1日目に筋区画内圧を測定したところ20mmHgであったため、減張切開は行わず、引き続き保存的に加療した。術後2日目の採血でクレアチンキナーゼが55610 IU/L-1まで上昇していたが、その後約1週間で1158 IU/L-1まで改善した。痛みの軽減を待ち、術後9日目から足関節の可動域制限に対してリハビリテーションを開始し、19日目に退院となった。本例の経験を踏まえて当院では婦人科手術の体位を砕石位から開脚位に変更した。
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