発行日 2012年1月1日
Published Date 2012/1/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2012156571
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62歳女。両変形性膝関節症で左側の後十字靱帯温存型人工膝関節全置換術を施行したが、術後3ヵ月から脛骨粗面の疼痛が出現した。9ヵ月後ごろからは左膝蓋骨下極と膝蓋腱の接合部に、左膝関節屈曲位から伸展していく際の轢音と整復感および違和感が生じるpatellar clunk様症状を自覚するようになった。X線では術後6ヵ月ごろより膝蓋骨下極に骨棘形成を認め、Insall-Salvati指数が徐々に減少し膝蓋骨低位の進行が認められた。術後1年2ヵ月で左大腿四頭筋の筋力低下を認め、左膝の症状は悪化したため再手術を施行した。膝蓋骨下極に続く膝蓋腱近位部に白濁色でゴム様、弾性硬の組織の増生を認め、これが膝関節屈曲時に脛骨ポリエチレンインサート前面とインピンジメントしていた。この線維性組織を一塊として切除し、同時に膝蓋骨下極の骨棘も切除した。術後3年経過し、左大腿四頭筋の筋力は正常化して左膝の愁訴はなく、自宅内での独歩が可能である。
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