発行日 2015年2月1日
Published Date 2015/2/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2015167439
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41歳男性。20歳時から統合失調症でhaloperidolの投与中であった。今回、検診で貧血を指摘され、鉄剤内服のみで放置していたが、便柱狭小化を自覚して受診、精査にて肝後区域(S6)と右腎浸潤を伴う径15cmの巨大上行結腸癌と診断された。入院時、腹部CTでは右葉後区域S6と右腎に浸潤を疑われる径15cmの上行結腸腫瘍がみられ、大腸内視鏡検査では上行結腸に内腔を閉塞する腫瘤が認めら、生検では低分化型腺癌であった。以上より、本症例は肝と右腎浸潤を伴う巨大上行結腸癌の診断にて手術施行となった。術中所見では腫瘍は肝実質に明らかに浸潤、右腎はGerota筋膜までの浸潤であり温存とし、肝後区域(S6)部分切除術+結腸右半切除術が施行された。その結果、切除標本は径15×10×10cm大の腫瘍であった。術後は第3病日目に早朝から呼吸困難やめまいの発症ほか、SpO2の低下を来したが、臨床症状と循環動態は安定しており、人工呼吸管理は必要とせず、心エコーでの右心負荷から肺血栓塞栓症(PTE)と診断された。以後、第6病日目の肺血流シンチグラフィーで両肺の広範な血流欠損が確認され、第8病日目からワーファリンカリウム投与を開始することで、問題なく経過でき、患者は第24病日目に退院となった。尚、目下、術後5年11ヵ月経過でPTEと大腸癌の再発はなく、生存中である。
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