投稿論文 短報
寒冷凝集素症のため凝集を呈した赤血球製剤を投与した下部消化管穿孔の麻酔経験
成谷 俊輝
1
,
郷 律子
,
三橋 寛奈
,
湊 文昭
,
山本 香
,
加藤 道久
1徳島赤十字病院 麻酔科
キーワード:
Fentanyl
,
Prednisolone
,
血液型判定と血液交差適合試験
,
血液製剤
,
Hemoglobins
,
全身麻酔
,
腸穿孔
,
貧血-溶血性-自己免疫性
,
リンパ腫-びまん性大細胞型B細胞性
,
赤血球輸血
,
致死的転帰
,
Desflurane
,
Remifentanil
,
小腸疾患
,
小腸切除
Keyword:
Anesthesia, General
,
Fentanyl
,
Fatal Outcome
,
Erythrocyte Transfusion
,
Anemia, Hemolytic, Autoimmune
,
Lymphoma, Large B-Cell, Diffuse
,
Hemoglobins
,
Intestinal Perforation
,
Desflurane
,
Remifentanil
,
Prednisolone
,
Blood Grouping and Crossmatching
pp.877-881
発行日 2020年8月10日
Published Date 2020/8/10
DOI https://doi.org/10.18916/J01397.2020373431
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症例は49歳女性で、腹痛、腹部膨満のため当院救急外来を受診し、巨大な膿瘍を形成する下部消化管穿孔のため緊急手術の方針となった。術前検査で高度の貧血を認めたが、身体診察や画像検査では腹腔内出血や消化管出血などは否定的であり、慢性の貧血が疑われた。交差適合試験で院内すべてのO型赤血球製剤に凝集を示し適合血がなかったが、貧血は高度であり、やむなく凝集の程度の少ない同型の赤血球製剤4単位、同型の新鮮凍結血漿6単位を輸血した。手術終了後は人工呼吸管理のままICUに入室した。摘出した小腸病理からび漫性大細胞型B細胞リンパ腫と診断し、術後8日目に寒冷凝集素価を測ると32倍であり、寒冷凝集素症と診断した。悪性リンパ腫に対して化学療法を行い、術後5日目以降は輸血することなく貧血はHb 5g/dl程度を推移したが、悪性リンパ腫は寛解に至らず、術後242日目に永眠された。
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