投稿論文 症例
耳介軟骨膜を用いて難治性気管食道瘻を閉鎖した1例
東堂 暢子
1
,
中尾 淳一
,
荒木 淳
,
伊藤 智之
,
石井 義剛
,
米沢 みなみ
,
森 裕晃
,
上條 朋之
,
鬼塚 哲郎
,
中川 雅裕
1静岡県立静岡がんセンター 再建・形成外科
キーワード:
組織移植
,
気管食道瘻
,
再手術
,
耳軟骨
,
縫合法
,
軟骨膜
Keyword:
Reoperation
,
Suture Techniques
,
Tracheoesophageal Fistula
,
Tissue Transplantation
,
Ear Cartilage
pp.334-339
発行日 2021年3月10日
Published Date 2021/3/10
DOI https://doi.org/10.18916/J00398.2021174074
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
78歳女性。難治性気管食道瘻を主訴とした。65歳時に下咽頭癌で咽喉食摘と遊離空腸による再建術を行い、71歳時にvoice prosthesis(VP)挿入による音声再建を行い、発声が可能となった。数年後、VP周囲から飲食物が漏れるようになった。誤嚥性肺炎が増加し、78歳時にVPを抜去した。VP抜去後に難治性瘻孔となり、複数回の瘻孔閉鎖術を行ったが、閉鎖できなかった。VP抜去後3ヵ月に気管膜様部に2~3mmの気管食道瘻を認め、VP抜去後の難治性気管食道瘻と診断し、hinge flapと耳介軟骨膜移植による閉鎖を行った。手術は瘻孔の両側にhinge flapを作成し、食道側を縫合閉鎖した。気管側は耳介後面より1×1cmの軟骨膜を採取し、その軟骨面をhinge flapに、皮膚面を気管内腔側に向けてパッチ状に移植した。術後5日に飲水テストで瘻孔から水の漏れがないことを確認し、食事を再開した。術後6ヵ月に軟骨膜移植部の粘膜化を認めた。
Copyright© 2021 KOKUSEIDO CO., LTD. All Rights Reserved.