投稿論文 症例
感染が胸鎖関節に及んでいた開心術後縦隔炎の2例
坂田 憲亮
1
,
山内 大輔
,
右田 尚
,
力丸 英明
,
清川 兼輔
1祐愛会織田病院
キーワード:
胸筋
,
胸鎖関節
,
縦隔炎
,
手術創感染
,
洗浄療法
,
僧帽弁
,
僧帽弁狭窄症
,
デブリードマン
,
大動脈弁狭窄症
,
皮膚移植
,
人工弁置換術
,
開心術
,
筋皮弁
,
陰圧閉鎖療法
,
胸部CT
Keyword:
Aortic Valve Stenosis
,
Sternoclavicular Joint
,
Surgical Wound Infection
,
Mediastinitis
,
Therapeutic Irrigation
,
Mitral Valve
,
Mitral Valve Stenosis
,
Skin Transplantation
,
Pectoralis Muscles
,
Debridement
,
Heart Valve Prosthesis Implantation
,
Myocutaneous Flap
,
Negative-Pressure Wound Therapy
pp.1427-1432
発行日 2020年11月10日
Published Date 2020/11/10
DOI https://doi.org/10.18916/J00398.2021050815
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症例1は76歳女性、症例2は82歳女性で、いずれも感染が胸鎖関節にまで及んだ主な原因は、開心術の閉創時に心臓外科医が胸骨に付着している大胸筋起始部を剥離したことであると考えられた。これにより胸鎖関節の一部が損傷され、胸骨体部とその深部の縦隔に生じた感染が胸鎖関節にまで波及したものと推測された。また、もう1つの原因として、心臓外科医が大胸筋を胸鎖関節から切離したことで、その部分に供給される血液量が低下したことが考えられた。症例1では、当初、心臓外科医が大胸筋を胸鎖関節から切離した事実を知らされておらず、適切なデブリードマンと創内持続陰圧洗浄療法(IW-CONPIT)を行ったにもかかわらず創治癒が進まない要因が分からなかった。最終的には胸鎖関節に及ぶ感染がその原因であることが判明し、鎖骨を含めた胸鎖関節のデブリードマンと大胸筋弁の移植によって治癒させることができた。症例2は初めから鎖骨を含めた胸鎖関節のデブリードマンと大胸筋弁の移植を行い、さらに創内感染をコントロールする目的でIW-CONPITも併施し、治癒させることができた。
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