特集 子宮頸がん予防の最前線
7.HPVワクチンのキャッチアップ接種への期待と課題
工藤 梨沙
1
,
関根 正幸
2
,
長谷川 順紀
1
,
黒澤 めぐみ
1
,
吉原 弘祐
1
,
榎本 隆之
3
R. Kudo
1
,
M. Sekine
2
,
J. Hasegawa
1
,
M. Kurosawa
1
,
K. Yoshihara
1
,
T. Enomoto
3
1新潟大学医学部産科婦人科教室
2琉球大学医学部産科婦人科教室
3市立伊丹病院遺伝子診療センター
pp.991-998
発行日 2025年10月1日
Published Date 2025/10/1
DOI https://doi.org/10.18888/sp.0000003539
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HPVワクチンは積極的勧奨中止により接種機会を失った世代が存在し,HPV 16/18型感染率上昇が懸念されている。2022年から救済措置としてキャッチアップ接種が導入され,9価ワクチンも公費対象となった。しかし,積極的勧奨中止により接種機会を失った世代の接種率はキャッチアップ接種を含めても50%前後で,積極的勧奨の中止前に達成していた80%を大きく下回っている。欧米からのreal-world dataや臨床試験では,20代での接種でも感染率や前がん病変の減少効果を示すものもある一方,接種年齢が高いほど効果は限定的であるという報告もあった。日本ではキャッチアップ接種は積極的勧奨中止により接種機会を失った世代(1997年4月2日~2008年4月1日生まれ)のみを対象としていたが,定期接種対象者の接種率が50%と低迷している現況を考えると,定期接種率を再向上させる施策を打ち出すとともに,2008年4月2日以降生まれの女性で定期接種時に接種しなかった女性に対しても救済措置として欧米のようにキャッチアップ接種を考慮すべきと考える。

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