特集 産婦人科の未来予想図―これから必要な技術,資格について
各論
6.生殖医療の先端技術:胚遺伝子治療の未来―顕微操作での研究技術をもつ産婦人科医の可能性―
葉山 智工
1
T. Hayama
1
1横浜市大市民総合医療センター婦人科・生殖医療センター(准教授)
pp.897-906
発行日 2025年9月1日
Published Date 2025/9/1
DOI https://doi.org/10.18888/sp.0000003513
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近年のゲノム編集技術の目覚ましい進歩により,従来,長い時間と多くの動物の犠牲によってのみ実現した動物のゲノム編集は,簡便・容易なものとなった。このため重篤な遺伝性疾患に罹患しているヒト胚に対してもゲノム編集を行うことが技術的に可能な範疇に入ってきた。この方法は遺伝性疾患に対する根本治療となりうるが,人類が長久にわたり引き継いできた生殖系列ゲノム情報を操作するため,倫理的問題も孕んでいる。ここでは,世界中で行われてきたヒト胚に対するゲノム編集研究,現在の技術的課題,各国の規制・倫理的取り扱いを筆者のキャリアパスと関連させつつ紹介し,将来,この分野で産婦人科医のもつ可能性についても考えたい。

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