特集 フローチャートでわかる 婦人科外来診療パーフェクトブック
Ⅳ 生殖・内分泌
46.体重減少性無月経
金崎 春彦
1
H. Kanasaki
1
1島根大学医学部産科婦人科(准教授)
pp.1407-1411
発行日 2024年11月1日
Published Date 2024/11/1
DOI https://doi.org/10.18888/sp.0000003182
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体重減少性無月経は,短期間に急激に体重が減少することが引き金になり発症する続発性の無月経である。一般的には3~6カ月の間に15~20%の体重減少に伴うものとされる。体重減少性無月経といわれる疾患には2種類あり,摂食障害を伴わないいわゆる「単純性体重減少性無月経」と摂食障害を伴う精神疾患である「神経性無食欲(やせ)症」がある。神経性無食欲(やせ)症はいわゆる拒食症であり,日本では長らく神経性食欲不振症とよばれていた疾患である。ともに体重減少による脂肪組織の減少と,それに伴う摂食抑制因子レプチンの減少あるいは摂食促進因子グレリンの増加が視床下部-下垂体-性腺軸(HPG axis)を司る視床下部キスぺプチンニューロン/gonadotropin-releasing hormone(GnRH)ニューロンを抑制することによるHPG axisの不調が原因である。両疾患とも若年女性に多く,無食欲(やせ)症の診断基準にあてはまらないものが単純性体重減少性無月経である。体重に関しては標準体重を指標にするが(表1)1),世界保健機関(WHO)の基準ではbody mass index(BMI)18.5未満を低体重とし,やせの重症度をBMIで分類している(表2)2)。
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