特集 フローチャートでわかる 婦人科外来診療パーフェクトブック
Ⅰ 症候からの鑑別診断
6.月経前の精神的・身体的症状
小川 真里子
1
M. Ogawa
1
1福島県立医科大学ふくしま子ども・女性医療支援センター(特任教授)
pp.1135-1140
発行日 2024年11月1日
Published Date 2024/11/1
DOI https://doi.org/10.18888/sp.0000003139
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月経前症候群(premenstrual syndrome;PMS)は,「月経前3~10日間の黄体後期に発症する多種多様な精神的あるいは身体的症状で,月経発来とともに減弱あるいは消失するもの」と定義されている1)。PMSは,主に月経開始前のホルモン変動に起因し,その症状としては,身体的症状(下腹部膨満感,疲労感,腰痛,頭痛,浮腫,乳房緊満感など)と,精神症状(気分の変動,易怒性,抑うつ気分など)が知られている。一方,月経前不快気分障害(premenstrual dysphoric disorder;PMDD)は,月経前に著しい精神症状を示すものを指す。PMDDの診断基準は,米国精神科学会によるDSM-5-TRに掲載され,抑うつ症群の一病態,すなわち精神疾患として定義されている2)。
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