今月の臨床 ピル─エビデンスに基づいて新ガイドラインを読み解く
ピルの副効用(利点)と新ガイドライン─エビデンスに基づく解説
6.月経前症候群
白土 なほ子
1
,
長塚 正晃
1
,
千葉 博
1
,
木村 武彦
1
,
岡井 崇
1
1昭和大学医学部産婦人科学教室
pp.1492-1499
発行日 2006年12月10日
Published Date 2006/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409101332
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はじめに
欧米に遅れること40年,1999年に日本でも低用量ピル(low oral contraceptives:LOC)が認可された.それから6年,理想的なLOC処方の条件をかかげた旧ガイドラインが利用されていたが,このたびWHO(世界保健機関)発行の“「OC処方のための医学適応基準」2004年”に準じ,問診,血圧測定の継続や定期健診の必要性,EBM(evidence-based medicine)に基づいた検査手順,また禁忌例を見逃さないためのチェックシートなどが盛り込まれた新ガイドラインが発行された.この新ガイドラインではLOCの副効用についても詳しく述べられている.実際,LOCを処方される人のうち,避妊のために服用開始するものは2割程度で,OC開始理由の7~8割は副効用(利点)を期待してである.副効用の項目では月経困難症,子宮内膜症,卵巣癌,子宮体癌,骨粗鬆症などの項目のほかに,ほかの良性疾患という項目で月経前症候群(premenstrual syndrome:PMS)と心因的障害の管理についても明記されている.
本稿では,PMSとOCについて文献的に考察するとともに,月経周辺期の症状を客観的に評価しながら行っている当院月経相談外来における現状を報告する.
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