特集 精神身体医学(産科)
月経異常と精神身体医学
長谷川 直義
1
1東北大学医学部
pp.13-15
発行日 1966年12月1日
Published Date 1966/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611203305
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
I.はじめに
月経というものは想像以上に女性の心理と結びついているものである.たとえば月経の間隔が長かったり,量が少な過ぎたりするだけでも,女性はなお不潔である……といった感情を抱いたりする.正常に月経がこないと毒物や有害物が排出されないでいると思っているのである.また女性というのは「もう愛されない」と感じたとき,異常な精神的ショックをうけるものである.かつてShapiroという婦人科医が"泣いている子宮"(weeping whomb)というコトバを用いたことがあるが,含蓄のある表現だと思う.月経異常はいろいろな精神葛藤や感情的ショックのあとでおこることがある.しかし,こうした場合でもその心理的要因だけでなく,同時にその女性のもつ素因,性格特性というものも十分考慮にいれて診断しなければならない.悩みのない人間はなく,またすべての月経異常が心因性に起こるとは限らないからである.以下,PSMの立場から月経異常をのべてみたい.
Copyright © 1966, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.