特集 帝王切開のネガティブ・インパクトの克服と新たな取り組み
I.帝王切開のネガティブ・インパクトの克服
1.帝王切開瘢痕症候群
辻 俊一郎
1
,
信田 侑里
1
,
村上 節
1
S. Tsuji
1
,
Y. Nobuta
1
,
T. Murakami
1
1滋賀医科大学産科学婦人科学講座
pp.201-206
発行日 2024年3月1日
Published Date 2024/3/1
DOI https://doi.org/10.18888/sp.0000002883
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わが国で帝王切開瘢痕症候群として知られている病態を,cesarean scar disorder(CSDi)と呼称することが国際的なコンセンサスを得たと誌上発表された。本病態は,子宮内膜で覆われていない子宮峡部創陥凹において生じた慢性の炎症が,子宮内および骨盤内に波及し妊孕能低下を誘引していることが一因と考えられる。治療に関しては挙児希望がなければ投薬による保存的加療が可能であるが,挙児希望症例に対しては内視鏡手術が有効である。内視鏡手術には,子宮鏡下手術や腹腔鏡下手術の有用性が報告されているが,われわれは菲薄化した残存子宮筋層厚が2.2mmより厚い症例では,より低侵襲な子宮鏡下手術による妊孕能回復を行っている。
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