特集 各種診療ガイドラインにみる挙児希望女性の合併症・併存疾患の取り扱い―プレコンセプションから妊娠・出産まで―
12.臓器移植患者
肥沼 幸
1
S. Koinuma
1
1国立成育医療研究センター妊娠と薬情報センター
pp.409-415
発行日 2023年4月1日
Published Date 2023/4/1
DOI https://doi.org/10.18888/sp.0000002525
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免疫抑制薬の進歩による移植術後管理技術の向上などもあり,腎移植,肝移植を中心に臓器移植後症例は年々増加している。小児期に移植術を受けた症例も妊孕期に至るなど,多くの臓器移植後症例が妊娠・出産といった課題に直面することになる。海外では1990年代から臓器移植後妊娠レジストリーが構築され,臓器移植後妊娠管理に関する様々な提言がなされている。今回,日本においても,医療者が正確な情報を提供することで,挙児を希望している臓器移植後の患者さんの不安を解消し,前向きな選択ができるよう,日本移植学会が中心となり,臓器移植後妊娠・出産ガイドラインを作成するに至った。これまで,腎移植以外の臓器移植では移植後の妊娠症例数が限られることもあり,海外も含めたガイドラインなどで,妊娠管理に関する情報を示しているものは少なかった。このガイドラインでは,各臓器移植専門医や産婦人科医,妊娠中の薬に関する専門相談機関の医師,看護師,移植コーディネーターがそれぞれ臓器移植後妊娠管理について,できるだけ多くの情報提供ができるよう取り組んだ。また共通項目として,産科的な基礎知識,臓器移植後管理では欠かせない免疫抑制薬などの妊娠中使用に関する情報も詳しく解説している。
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