特集 各種診療ガイドラインにみる挙児希望女性の合併症・併存疾患の取り扱い―プレコンセプションから妊娠・出産まで―
11.悪性疾患
伊藤 薫
1
,
高江 正道
1
,
鈴木 直
1
K. Ito
1
,
S. Takae
1
,
N. Suzuki
1
1聖マリアンナ医科大学産婦人科学
pp.401-407
発行日 2023年4月1日
Published Date 2023/4/1
DOI https://doi.org/10.18888/sp.0000002524
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小児を含む若年がん患者への治療の進歩により,がんサバイバー(がん経験者)が増加している。一方,がんに対する治療内容によっては妊孕性に影響を及ぼすことが知られており,がんサバイバーが不妊となることや性ホルモンの分泌低下をきたすことが明らかとなってきている。がんサバイバーのQOL向上に配慮し,がん治療医は小児・AYA(思春期・若年成人)世代がん患者の妊孕性温存に関する重要性を再認識する必要がある。しかしながら,がん治療を何よりも最優先とすることはいうまでもなく,将来の妊娠・出産を断念せざるを得ない状況も少なくないことについて,患者と家族が受容できるように努めることも重要である。今後,より多くのがん患者が妊孕性温存療法に関する情報提供を受けることができるよう体制を整えていくことは重要であり,がん・生殖医療に社会全体として取り組んでいく必要がある。
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