特集 絨毛性疾患の最新トピックス
絨毛性疾患の基礎的・臨床的研究の今後の展開
13.絨毛性腫瘍に対する免疫チェックポイント阻害薬の有効性
井箟 一彦
1
K. Ino
1
1和歌山県立医科大学産科婦人科学教室(教授)
pp.183-188
発行日 2023年2月1日
Published Date 2023/2/1
DOI https://doi.org/10.18888/sp.0000002466
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化学療法抵抗性の絨毛性腫瘍(GTN)に対して,PD-1/PD-L1阻害薬の臨床的有効性を示す報告が相次ぎ脚光を浴びている。胞状奇胎や胎盤のトロホブラストから発生し,パートナー由来の抗原を有するGTNは,宿主免疫細胞からの監視・攻撃の回避のため,HLA-A/Bの消失,HLA-Gの発現,hCG分泌に加えて,免疫チェックポイント分子であるPD-L1の発現やトリプトファン代謝酵素であるIDOの発現など母子免疫と共通した強力な免疫寛容システムを形成している。これらを標的とした免疫チェックポイント阻害薬を用いた免疫療法は,今後の難治性GTNの新規治療戦略として期待されている。
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