特集 絨毛性疾患の最新トピックス
絨毛性疾患の基礎的・臨床的研究の今後の展開
12.絨毛性疾患における血中microRNAの意義
三浦 生子
1
,
長谷川 ゆり
1
,
三浦 清徳
1
S. Miura
1
,
Y. Hasegawa
1
,
K. Miura
1
1長崎大学大学院医歯薬学総合研究科産科婦人科学分野
pp.179-182
発行日 2023年2月1日
Published Date 2023/2/1
DOI https://doi.org/10.18888/sp.0000002465
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絨毛性疾患の診断や治療効果の判定において,hCG蛋白レベルが腫瘍マーカーとして用いられている。しかし,hCG蛋白レベルでは胞状奇胎がのちに侵入胞状奇胎や絨毛癌などへ進展するのか否かを推定することはできないため,新たな腫瘍マーカーの同定が望まれている。その候補の1つとして,患者血液中を循環しているmicro RNAが注目されている。特に,妊娠と関連したchromosome 19 micro RNA cluster(C19 MC)領域のmicro RNA(miRNA)は胎盤特異的に発現しており,母体血漿中の循環量は妊娠経過とともに増加し,妊娠終了とともに減少することが知られている。全胞状奇胎における血中C19 MC miRNA循環量は,正常妊娠におけるそれと比較して有意に上昇しており,絨毛性疾患の診断や治療効果の判定に有用である可能性が報告されている。現時点では研究段階ではあるが,妊娠と関連した胎盤特異的micro RNAは,hCG蛋白レベルとは独立した絨毛性疾患の新たな腫瘍マーカーとして期待されている。
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