特集 AYA世代の女性ヘルスケア―対応と実際―
Ⅵ.性教育
3.矯正施設における子どもたちへの性教育
石谷 健
1
,
定本 ゆきこ
2
K. Ishitani
1
,
Y. Sadamoto
2
1北里大学北里研究所病院婦人科
2京都少年鑑別所
pp.1170-1175
発行日 2022年9月30日
Published Date 2022/9/30
DOI https://doi.org/10.18888/sp.0000002307
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
女子少年院や女子刑務所をはじめとする矯正施設に入所する対象者は,何らかの非行や罪を犯した加害者という立場にいるものの,実際は虐待や家庭内外の性虐待の被害者であることが少なくない。また,軽度知的障害や発達障害などの資質面でのハンディキャップや気分障害や摂食障害,リストカットなど精神保健上の問題を抱えていることが多い。したがって,彼女たちに対しては矯正教育や処罰以前に,安全な環境と安心できる関係性のなかで治療・支援が向けられる必要がある。とりわけ,性については傷ついた経験を有し認知が歪んでいる場合が多いので,丁寧なケアと正しい性教育が求められる。法務省矯正局では,平成25(2013)年度から女子少年院在院者の特性に配慮した処遇プログラムの開発などを開始しており,性教育教材の開発については日本産婦人科医会が監修を行い,全国での統一的な指導用教材を整備している。加えて産婦人科矯正医療における課題についても提示する。
Copyright © 2022, KANEHARA SHUPPAN Co.LTD. All rights reserved.