特集 いま改めて妊娠高血圧症候群を考える―診療指針改訂のポイントから―
5.子宮胎盤機能不全,fetal growth restriction(FGR)合併例の管理
川端 伊久乃
1
I. Kawabata
1
1日本医科大学産婦人科学教室(講師)
pp.477-481
発行日 2022年5月1日
Published Date 2022/5/1
DOI https://doi.org/10.18888/sp.0000002139
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2018年の定義分類の改訂により,子宮胎盤機能不全(子宮内胎児発育不全・臍帯血流波形異常・死産)が母体臓器障害の1つに定義された。この改訂により,妊婦に高血圧を認め,さらに胎児発育不全を認めた場合は重症妊娠高血圧腎症の診断となり,慎重な母児の管理が必要となる。胎児適応での分娩を考慮する所見としては,胎児機能不全・臍帯動脈血流異常を伴う重症胎児発育不全を認めた場合が挙げられるが,実際には妊娠週数,母体の所見,経時的な胎児の状態の変化,胎盤機能の評価(羊水量,超音波ドプラ所見),施設の基準などを総合的に評価して判断する必要がある。妊娠高血圧症候群から出生した児は,早産に伴う未熟性だけではなく,妊娠高血圧症候群自体に伴う神経発達障害の有無,成人期以降も高血圧や心血管障害発症の有無などについての長期的なフォローアップが望まれる。
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