特集 図解 分子メカニズムから理解する婦人科がんの薬物療法
【各論】
Ⅲ 子宮体部悪性腫瘍
4.絨毛性疾患
西野 公博
1
,
新美 薫
1
,
山本 英子
2
K. Nishino
1
,
K. Niimi
1
,
E. Yamamoto
2
1名古屋大学医学部産婦人科
2名古屋大学医学部医療行政学
pp.1522-1528
発行日 2021年11月30日
Published Date 2021/11/30
DOI https://doi.org/10.18888/sp.0000001973
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胎盤の基本構成要素である絨毛は,栄養膜細胞(トロホブラスト)と絨毛間質細胞からなる。絨毛性疾患は,栄養膜細胞を発生母地とする疾患の総称で,臨床的分類として胞状奇胎,侵入胞状奇胎(侵入奇胎),絨毛癌,胎盤部トロホブラスト腫瘍(placental site trophoblastic tumor;PSTT),類上皮性トロホブラスト腫瘍(epithelioid trophoblastic tumor;ETT),存続絨毛症の6つに区別されている1)。胞状奇胎以外は化学療法または手術治療が必要となる絨毛性腫瘍である。絨毛性疾患の治療を適切に行うためには正しい診断が必要となるが,栄養膜細胞が原因となるそのほかの産婦人科疾患との鑑別が困難な場合がある。鑑別のポイントを表1にまとめた。患者が妊孕性温存を希望し,子宮摘出による病理組織学的所見が得られない場合には継時的にヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)値を測定し,化学療法が必要となる絨毛性腫瘍かどうかの判断が必要となる。
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