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現在の科学的エビデンスは,数々の臨床試験の結果を経て確立された。正しくエビデンスを理解することは,すなわち臨床試験を正しく理解することである。臨床試験を理解するためには,臨床試験のデザインを理解することが重要である。つまり,① 目的を明確に理解すること,② 適格条件,治療内容,エンドポイントを特定すること,③ 検出すべき差の大きさもしくは推定の精度を決定すること,④ 治療法の割り付けをどのように実施するか特定すること,⑤ サンプルサイズの計算に用いる分布の仮定やエラーの確率を決定することが重要である。得られた結果を正確に理解できなければ,単にpositiveやnegativeといった極論しか導き出せない。そのため試験結果を実地臨床に外挿して治療戦略をアップデートすることは困難である。さらに新規の分子標的薬が様々開発され,その生物学的特性のため従来なかった様々なエンドポイントや判定基準が新たに設定された。具体的例としてPARP阻害薬の臨床試験1)~4)における二次治療までの無増悪生存期間(progression free survival;PFS)2,time to first subsequent treatment(TFST),time to second subsequent treatment(TSST),quality-adjusted time without symptoms of disease progression or toxicity of treatment(Q-TWiST)5)~7)や免疫チェックポイント阻害薬の臨床試験におけるimmune-related response evaluation criteria in solid tumors(irRECIST)などである。本稿では,エンドポイントを中心に臨床試験を理解するために必要な知識について概説する。
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