特集 図解 分子メカニズムから理解する婦人科がんの薬物療法
【総論】
Ⅳ 臨床試験および薬事承認を理解するために必要な基礎知識
3.臨床試験結果を正しく理解するための統計学の基礎知識
新谷 歩
1
A. Shintani
1
1大阪市立大学大学院医学研究科医療統計学講座(教授)
pp.1428-1434
発行日 2021年11月30日
Published Date 2021/11/30
DOI https://doi.org/10.18888/sp.0000001957
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科学雑誌Natureは,世界50カ国にまたがる800人の著名な統計家や臨床・医学研究者,生物学者や心理学者が「p値を用いて統計的有意差がある・ないという行為をやめるべきだ」という声明に署名したと発表した1)。また,米国統計学会は「p値至上主義」を是正すべきであるという歴史的な声明を発表している2)3)。p値が5%を下回ったからといって,研究対象の薬剤に効果があるなどと短絡的な結論を出すのではなく,データがどのようにデザインされた研究から得られたのか,バイアスのない結果が得られたのか,研究デザインに不備はなかったのかなど,臨床試験の結果を正しく評価するには結果を総合的に判断する読解力が必要である。そこで本稿は,大規模臨床試験の結果の科学性を判断する際に,ぜひ知っておいていただきたい点を説明する。
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