特集 図解 分子メカニズムから理解する婦人科がんの薬物療法
【総論】
Ⅳ 臨床試験および薬事承認を理解するために必要な基礎知識
1.抗腫瘍薬が保険承認されるための仕組み
馬場 長
1
T. Baba
1
1岩手医科大学産婦人科
pp.1414-1419
発行日 2021年11月30日
Published Date 2021/11/30
DOI https://doi.org/10.18888/sp.0000001955
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わが国では国民皆保険のもと,有効性や安全性が確認され,必要かつ適切な医療は保険適用されてきた。新しい医薬品は,毎年定期的に薬価収載の機会が設けられており,薬事承認後2~3カ月以内に収載される。2020年は125品目の新医薬品が承認され,過去10年間の平均承認品目数(117品目)を上回っていた。そのうち,新有効成分含有医薬品(new molecular entity;NME)は38品目が承認されており,コロナ禍のなかではあったが,例年以上の薬剤が上市されている。抗悪性腫瘍薬についても2000年以降で最多の45品目が承認を受け,うち10品目がNMEと,新しい効能をもった薬剤が悪性腫瘍治療の現場に届けられる1年となった。承認品目の多くが海外で承認を受けた医薬品の国内導入である一方で,世界に先駆けて日本での実用を目指す試みも実装され,過去3年で6品目のNME抗悪性腫瘍薬が日本で初めて承認を受けた。新規開発された抗悪性腫瘍薬が臨床現場に届けられるまでのハードルは依然高いものの,行政側の整備は確実に風通しのよい方向に進んでいる。本稿では,保険承認されるまでの仕組みについて概説する。
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