特集 図解 分子メカニズムから理解する婦人科がんの薬物療法
【総論】
Ⅲ 抗悪性腫瘍薬使用時の副作用に対する対策
8.VEGF阻害薬による高血圧,血栓塞栓症,蛋白尿,消化管穿孔
小宮山 慎一
1
S. Komiyama
1
1東邦大学医学部産科婦人科学,東邦大学医療センター大森病院産婦人科
pp.1390-1398
発行日 2021年11月30日
Published Date 2021/11/30
DOI https://doi.org/10.18888/sp.0000001951
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血管内皮細胞増殖因子(vascular endothelial growth factor;VEGF)は血管新生やリンパ管新生,血管透過性の制御,血管網のリモデリングなどに関与する重要な分子であり,腫瘍の増殖・進展において大きな役割を担っている。そのためVEGFとその受容体を中心としたシグナル伝達系(VEGF signaling)やその周辺のシグナル伝達系を標的とした様々な分子標的薬が開発され,各種固形がんの治療に用いられている。婦人科がん領域においては,ヒト化抗VEGFモノクローナル抗体薬であるベバシズマブ,VEGR受容体をはじめとする受容体型チロシンキナーゼのマルチ阻害薬であるパゾパニブが広く投与されており,さらに今後はレンバチニブという新たな受容体型チロシンキナーゼ阻害薬も子宮体癌の治療に導入されることが見込まれている。これらの分子標的薬は,従来の殺細胞性抗がん薬とは異なる作用機序により抗腫瘍効果を発揮し,婦人科がんの治療において重要な役割を担う。
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