特集 図解 分子メカニズムから理解する婦人科がんの薬物療法
【総論】
Ⅲ 抗悪性腫瘍薬使用時の副作用に対する対策
7.臓器障害:腎機能障害,出血性膀胱炎,肝機能障害,心機能障害,肺障害(間質性肺炎)
武田 真幸
1
M. Takeda
1
1奈良県立医科大学がんゲノム・腫瘍内科学講座
pp.1384-1389
発行日 2021年11月30日
Published Date 2021/11/30
DOI https://doi.org/10.18888/sp.0000001950
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腎障害を引き起こす抗がん薬としては,シスプラチンが代表的であり,クレアチニン上昇などにより次サイクルが投与困難な例を経験することがある。シスプラチンは,静脈内投与後,糸球体からろ過された後に近位尿細管へ蓄積し,近位尿細管を障害するとされているが,これは,近位尿細管の基底側膜にある有機カチオントランスポーター(organic cation transporter;OCT)2を介して尿細管に取り込まれることに関係する(図1)。開発初期の研究では,シスプラチンによる中等度・高度腎障害は,50~75mg/m2使用時に約3割に報告されている1)。シスプラチンは臨床試験時の適格性に倣い,クレアチニンクレアランスが60ml/分以上に使用する場合が多い。
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