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特集 Onco-Cardiology—がんと循環器における新しい関係
高血圧,蛋白尿,虚血性心疾患—血管新生阻害薬による心毒性
Hypertension, Proteinuria, Ischemic Heart Disease:Cardiotoxicity associated with Angiogenesis Inhibitors
塩山 渉
1
Wataru Shioyama
1
1大阪府立成人病センター循環器内科
1Department of Cardiology, Osaka Medical Center for Cancer and Cardiovascular Diseases
pp.859-865
発行日 2016年9月15日
Published Date 2016/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404206025
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はじめに
わが国では,高齢化と生活習慣の欧米化により,がんと循環器疾患を合併する症例が増加しており,がん治療における心血管系合併症(心毒性)が問題となっている.1970年代にアントラサイクリン系薬剤であるドキソルビシンが多くの患者に投与され,心筋障害の発生が報告されて以来,心毒性は抗がん剤の主要な副作用の一つとして認識されている.最近では,がん細胞の増殖,浸潤,転移に関わる分子を阻害することで,がんに対して特異的効果を示す分子標的薬が開発され,従来の抗がん剤にはない新しい効果が認められており,がん患者の予後を改善するようになった.しかしながら,毒性が少ないとされていた分子標的薬にも重篤な心血管系の副作用を伴うことが報告されている.本稿では分子標的薬の中でも血管新生阻害薬でみられる高血圧症や蛋白尿,虚血性心疾患について,その機序や対処法について述べる.
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