特集 卵巣癌におけるHRDとPARP阻害薬の効果
6.遺伝性乳癌卵巣癌症候群の診療
坂井 美佳
1,2
,
竹原 和宏
2
,
平沢 晃
1
M. Sakai
1,2
,
K. Takehara
2
,
A. Hirasawa
1
1岡山大学大学院医歯薬学総合研究科臨床遺伝子医療学
2四国がんセンター婦人科
pp.501-508
発行日 2021年5月1日
Published Date 2021/5/1
DOI https://doi.org/10.18888/sp.0000001718
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
遺伝性乳癌卵巣癌症候群(HBOC)はBRCA1/2生殖細胞系列病的バリアントに起因する遺伝性腫瘍で,乳癌,卵巣癌,膵癌,前立腺癌の発症リスクが高い。HBOCの診断は,がん既発症者では二次がんの対策につながり,がん未発症者においても関連がんの予防やサーベイランスの実施につながる。卵巣癌におけるHBOCの割合は約15%と高頻度であり,発症年齢や家族歴にかかわらず全例にBRCA1/2遺伝学的検査が推奨されている。わが国では,卵巣癌あるいは乳癌既発症のHBOC症例に対する遺伝カウンセリング,遺伝学的検査,サーベイランス,リスク低減手術は保険診療となっている。HBOCは「診断・予防・治療」で一貫した医療介入が可能であり,その診療には産婦人科と遺伝医療のシームレスな連携が求められる。
Copyright © 2021, KANEHARA SHUPPAN Co.LTD. All rights reserved.