特集 ワクチンの安全性と社会学—HPVワクチンの接種はなぜ広まらないのか?—
Ⅱ.HPVワクチンについて
6.HPVワクチンについての行政・政治の動きと今後の展望
吉村 泰典
1
Y. Yoshimura
1
1福島県立医科大学副学長,慶應義塾大学名誉教授
pp.321-329
発行日 2021年3月1日
Published Date 2021/3/1
DOI https://doi.org/10.18888/sp.0000001663
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WHOの子宮頸癌征圧のための戦略の徹底により,今世紀中に世界の多くの国々で子宮頸癌は根絶に向かうであろう。一方,わが国では,積極的勧奨の差し控えという政策決定によって,HPVワクチンの接種率が急激に低下し,国民のワクチンへの信頼性が揺らいだとすれば,まず再開という政策決定によって,信頼を回復すべきであると思われる。すでに,国内のみならず国際的にも,HPVワクチンの有効性および安全性についての科学的エビデンスは十分にそろった状況にある。子宮頸癌の予防は,科学的に検証されたエビデンスに基づいてプログラムを実施することによって達成できる。そのためには,国民やメディアに対する教育が枢要であり,官民一体となった取り組みが急務である。
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