今月の臨床 子宮頸がんの予防戦略―ワクチンと検診
HPVワクチン─確実な予防効果
6.HPVワクチンの将来
近藤 一成
1
1NTT東日本関東病院産婦人科
pp.277-281
発行日 2010年3月10日
Published Date 2010/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409102292
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はじめに
子宮頸がんは早期に発見し治療することによって治癒する疾患と考えられている.30年以上にわたって,子宮頸がんの予防は二次予防である細胞診スクリーニングによって行われてきた.いわゆる子宮頸がん検診だが,先進国において高い評価を得て罹患率の低下に寄与してきた.2006年には,Gardasil(R)やCervarix(R)という発がんに最も関連性の高い16, 18型に対するHPV(human papillomavirus)ワクチンを用いる一次予防が導入されるようになった.これからの子宮頸がん予防はHPVワクチンを基本とした方法がメインになると思われる.しかし,現行ワクチンが標的にしていない発がん性HPVの感染予防や,既感染者や細胞診異常者に対する治療方法についてはまだ解決されていない.よって,有望な一次予防法を得ることはできたが,従来の細胞診による二次予防も継続しなければならない.そこで,本稿では幅広い型に有効な予防ワクチン開発や既感染者,細胞診異常者に対する治療の展望について概説する.
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