特集 着床前診断—現状と近未来の方向性—
各論
1.遺伝子増幅に関する選択肢と課題
加藤 良美
1
,
加藤 武馬
2
,
宮井 俊輔
2
,
倉橋 浩樹
1,2
Y. Kato
1
,
T. Kato
2
,
S. Miyai
2
,
H. Kurahashi
1,2
1藤田医科大学大学院医学研究科分子遺伝学
2同大学総合医科学研究所分子遺伝学研究部門
pp.817-821
発行日 2020年8月1日
Published Date 2020/8/1
DOI https://doi.org/10.18888/sp.0000001356
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着床前遺伝子診断(PGT)においては,少数の細胞を試料として遺伝子・染色体検査を行うため,全ゲノム増幅(WGA)という過程がほぼ必須となる。近年,種々の方法が開発・改良され,目的に応じて使い分けられている。バクテリオファージ由来の鎖置換型DNA合成酵素を利用したMDA法が遺伝子診断に標準的に使われているが,増幅バイアスがあり定量性が悪い。その後,ループ形成により増幅過剰を抑制するMALBAC法などの新しい方法論の登場により,定量性の精度が高まり,マイクロアレイや次世代シーケンスのような網羅的ゲノム解析法との組み合わせにより,染色体異数性や不均衡型転座を検出するPGTの普及に大きく貢献した。
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