技術講座 遺伝子
各種遺伝子検査法の特徴―核酸増幅法を中心に
増川 敦子
1
,
松下 弘道
2
,
宮地 勇人
2
1東海大学医学部付属病院臨床検査科
2東海大学医学部基盤診療系臨床検査学
pp.195-202
発行日 2010年3月1日
Published Date 2010/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543102755
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新しい知見
遺伝子検査の新しいステージが展開されている.検出可能範囲や目的によって検出系を使い分けることなく,エキソン単位~染色体まで広領域を解析できるMLPA(multiplex ligation-dependent probe amplification)法が開発された.MLPA法はポリメラーゼ連鎖反応(polymerase chain reaction,PCR)増幅のための特異的プローブにユニーバサルプライマー(共通配列)を結合させている.特異的プローブ設定で欠失,挿入の解析ができ,またプローブの3′/5′部位をSNP(single nucleotide polymorphism)部位やメチル化部位に設定することでSNPタイピングやメチル化を解析することができる.検査の簡素化としてQP(quenching probe)法を利用した分析機器(i-densyTM)が開発された.QP法は標的SNP領域をPCR増幅し,相補的配列のQProbe(蛍光標識したシトシン塩基を末端にもち解離すると発光)と結合しQProbeの解離温度の異なりで検出する.検体は,前処理・増幅・検出が一体化した試薬キットに分注後,専用機器にセットするだけと簡素化されている.主に投薬前診断を目的とした薬物代謝酵素SNPs検出用試薬が市販されている.
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