特集 外科解剖学から解き明かす広汎子宮全摘出術
7.子宮周囲の解剖と広汎子宮全摘出術の工夫 ②
-―膀胱子宮靱帯の外科解剖学と内視鏡下広汎子宮全摘出術への応用―
京 哲
1
S. Kyo
1
1島根大学医学部産科婦人科
pp.1747-1752
発行日 2018年12月1日
Published Date 2018/12/1
DOI https://doi.org/10.18888/sp.0000000699
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膀胱子宮靱帯の処理は広汎子宮全摘出術の手技のなかで最も難易度が高く,出血や尿管損傷のリスクを回避するためにはその解剖の理解が必須である。開腹手術においても近年,膀胱子宮靱帯を挟鉗して一括処理する方法から,靱帯を剝離,展開し,血管のみを分離切断する方法に変わってきている。特に鏡視下手術は,そのような手法に適していると言える。前層処理の際に注意すべきは,前層の入口部にある膀胱静脈の浅子宮静脈系への流入血管,子宮動脈の尿管枝,cervico-vesiso vesselsの3つであり,これらが出血源として重要で,鏡視下手術ではいずれも分離して可視下に処理する。われわれは腟側腔を先に試掘し,前層処理の終着点を明らかにした上で,腔の展開により膀胱を尾側に,尿管を外側に受動し,その損傷を防止している。内視鏡手術の高解像度拡大画像は膀胱子宮靱帯の解剖を一層明快なものとし,さらに気腹圧の存在が剝離や腔の展開を容易にする。
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