特集 外科解剖学から解き明かす広汎子宮全摘出術
1.腹腔鏡下および開腹下の子宮頸癌に対する広汎子宮全摘出術の将来展望
三上 幹男
1
,
松尾 高司
2
M. Mikami
1
,
K. Matsuo
2
1東海大学医学部専門診療学系産婦人科
2南カリフォルニア大学産婦人科腫瘍部門
pp.1701-1711
発行日 2018年12月1日
Published Date 2018/12/1
DOI https://doi.org/10.18888/sp.0000000693
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日本には広汎子宮全摘出術(RH)の発展について長い歴史があり,岡林術式の開発以来,膀胱神経温存術式,膀胱子宮靱帯の精緻な解剖学的知見,下肢リンパ浮腫予防のための工夫,腸閉塞予防のための工夫,新たな手術用デバイスの開発など,いろいろな考案・工夫をしながら,RHはさらに精緻で細かい術式に変貌してきている。また,ⅡB期への手術適応,術後再発高リスク群への術後補助化学療法など,世界ではまったく受け入れられていない治療も日本では広く行われている。これはひとえに,とてもユニークな日本での広汎子宮全摘出術の歴史,放射線療法・手術療法に対する患者の感情・意向,日本人医師の持つ細やかな職人気質など,いろいろな面で世界とは一歩離れた立ち位置で発展してきたからにほかならない。本稿では,日本の婦人科悪性腫瘍の手術治療に押し寄せてきている「低侵襲化」の波について,特に頸癌に注目して日本での歴史を紐解きながら,また世界でその結果に騒然としているLACC trial(PhaseⅢ randomized trial of laparoscopic or robotic radical hysterectomy vs abdominal radical hysterectomy in patients with early-stage cervical cancer:LACC Trial)についても,今後日本でどう考え対処していくべきかを私見を交えて考えてみたい。
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