原著
早期子宮頸癌に対する低侵襲広汎性子宮全摘術
-—日本は日本のデータを—
松尾 高司
1
,
榎本 隆之
2
,
三上 幹男
3
K. Matsuo
1
,
T. Enomoto
2
,
M. Mikami
3
1南カリフォルニア大学産婦人科
2新潟大学産婦人科
3東海大学産婦人科
pp.769-774
発行日 2021年7月1日
Published Date 2021/7/1
DOI https://doi.org/10.18888/sp.0000001786
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
2018年3月24日,筆者(松尾)は三上らとともにルイジアナ州ニューオーリンズで開催中の第49回米国婦人科腫瘍学会(SGO)のメイン会場にいた。本学会に出席する人のほとんどが,そこで行われるLate breaking abstractの発表を一番の楽しみにしている。そこでは,毎年のようにいわゆる大目玉の試験結果の発表が続くからだ。大勢がフロアに駆けつけてまさにコンサートの様相だ。その日も,皆はきっとLACC試験の好結果を期待していたはずだ。しかし,ラミレスらより世界初の早期子宮頸癌に対する低侵襲広汎性子宮全摘術の有用性を試した第Ⅲ相試験の結果が発表されると学会フロアは水が引いたように静まり返り,セッション終了後は怒号とため息の入り混じった異様な雰囲気に包まれた。あれから3年,米国では早期子宮頸癌に対する低侵襲広汎性子宮全摘術はどうなったのか。また,日本ではどうなっているのか,日本は今後どうするのか。日本への熱い思いと期待を,太平洋の対岸から静かに伝えたい。
Copyright © 2021, KANEHARA SHUPPAN Co.LTD. All rights reserved.