特集 外科解剖学から解き明かす広汎子宮全摘出術
企画者のことば
松村 謙臣
1
Noriomi Matsumura
1
1近畿大学医学部産科婦人科学教室(教授)
発行日 2018年12月1日
Published Date 2018/12/1
DOI https://doi.org/10.18888/sp.0000000692
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2018年4月より,わが国において子宮頸癌に対する腹腔鏡下広汎子宮全摘出術が保険適用となった。しかしその直前の3月末,Society of Gynecologic Oncologyのannual meetingにおいて,ロボット支援を含む腹腔鏡下広汎子宮全摘出術と開腹下広汎子宮全摘出術のランダム化比較試験にて,腹腔鏡下広汎子宮全摘出術群で有意に骨盤内再発率が高く生存率が低かったという驚くべき結果が報告された。そしてその結果は2018年11月にThe New England Journal of Medicine誌に掲載された。そのような結果が出た背景として,米国と日本の広汎子宮全摘出術術式の違いや,子宮マニュピレーターの使用の有無,腟カフを形成しているか否かなどが影響した可能性が考えられる。しかし,それでは果たして,日本では本当に腹腔鏡下広汎子宮全摘出術が安全・確実な手術として広まっていっているのか,正確な外科解剖の知識が共有されているのか,という疑問もある。
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