疾患の病態と治療 病態管理の進歩
絨毛性腫瘍
鈴木 健治
1
,
甘 彰華
1
,
雨宮 清
1
Kenji Suzuki
1
1警友総合病院産婦人科
pp.303-309
発行日 1977年4月10日
Published Date 1977/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409205596
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絨毛性腫瘍(絨腫瘍)の研究発展をふりかえると,Marchand,Meyer,EwingよりNovak,Hertigにいたる病理組織学的知見を基礎とする腫瘍としての概念の確立を経て,1963年,R.Herzに始まる化学療法の臨床応用を契機とし,その有効性の確認と胞状奇胎(奇胎)後の管理方式の確立,地域登録制の推進等がなされ,ここに絨腫瘍の治療成績は著しく向上した。しかしながら絨毛がんとも呼ぶべき絨毛上皮腫(絨腫)についてはいまだ60%前後の5年生存率にとどまり,これを越えて完全征圧を果たすためには,
1)絨腫発生の防止, 2)より早期症例の診断, 3)さらに信頼し得る治療後緩解基準の設定等がなされなければならない。一方病像分析に関しては低単位hCG測定を中心としていくつかの診断法に発展がみられ,ここに低単位hCG時期における病態の管理が最大の課題となり,このレベルでの絨腫発生防止という予防的観点をも包括した新たな管理方式が検討されつつあるのが現状といえよう。この見地から最近の進歩を中心として本疾患の病態管理のあり方を考察し,現在行なっている具体的方策を述べてみたい。
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