今月の臨床 婦人科がんを見逃さないために
婦人科がん早期診断の要点・問題点
8. 絨毛癌
片渕 秀隆
1
,
田代 浩徳
1
1熊本大学大学院医学薬学研究部 総合医薬科学部門 生体機能病態学講座 婦人科学分野
pp.1101-1105
発行日 2006年8月10日
Published Date 2006/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409100774
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はじめに
絨毛癌は妊娠性と非妊娠性に大別される.前者は経妊女性または妊娠女性に発生し,子宮絨毛癌,子宮外絨毛癌,胎盤絨毛癌に分けられる.後者は未経妊女性や男性にも発生し,卵巣や精巣の胚細胞由来の絨毛癌,胃癌に代表される癌腫の分化異常による絨毛癌に分けられる1).
絨毛癌の大部分を占める妊娠性絨毛癌は,胎盤絨毛癌を除き,過去の妊娠の絨毛細胞を発生母細胞とする.妊卵の着床部に絨毛細胞が残存することによって絨毛癌が発生する以外に,この細胞が着床部の血管壁を置換し血中に入る性格から,他臓器にとどまり絨毛癌に至る場合がある.また,絨毛癌はしばしば肺や脳の遠隔臓器に転移する.本稿では,この妊娠性絨毛癌に焦点を絞り,早期診断の要点ならびに問題点について述べる.
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