特集 卵巣癌の手術up to date
1.卵巣癌手術療法の変遷,動向と新たな潮流
京 哲
1
S. Kyo
1
1島根大学医学部産科婦人科(教授)
pp.465-471
発行日 2018年5月1日
Published Date 2018/5/1
DOI https://doi.org/10.18888/sp.0000000423
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卵巣癌の手術療法は,残存腫瘍径を指標とする腫瘍減量術(PDS)と術前補助化学療法(NACT)や術後化学療法など化学療法との併用を前提として進歩してきた。Optimal surgeryの定義は残存腫瘍径2cm以下から1cm以下となり,それを目指した拡大手術が一部の施設において積極的に行われるようになってきた。しかし,すべての患者に拡大手術を目指すのではなく,R0可能な患者の選別こそが肝要であり,そのための新たなアプローチとして審査腹腔鏡を用いた観察や腫瘍生検の分子生物学的解析が注目される。近年のランダム化比較試験においてNACTがPDSに対して非劣性であることが明らかになってきた。今後はNACTが有効な患者の選別が重要になってくるであろう。ゲノム医療がいよいよ実装化され,個別化医療が確実に浸透している婦人科がん医療において,手術もまた症例の選別という意味では個別化が重要なキーワードとなってくる。
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